プロジェクト通信

Jul
18

豊島「食プロジェクト」棚田再生について

事務局スタッフの高山です。


前回5月13日のブログでご案内しました豊島の「食プロジェクト」棚田の再生ですが、直島のコメづくりスタッフ2名(末宗、高橋)が7月1日より、毎日直島から豊島に通って、自然と格闘をしながら休耕田の開拓を行っています。


写真を見てもらっても大変な作業であると思っていただけると思いますが、初夏の陽気が続き、いろいろな虫などもいて、毎日必死に決められた範囲の草刈ノルマをこなしていっています。


このあと、スタッフの自己紹介もさせていただきますが、まずは、その豊島のプロジェクトの紹介をさせていただきます。
長文になりますので、あらかじめご了承ください。


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豊島は直島の隣に位置する島で、面積14.4㎡、周囲19.8km、標高340mと、直島よりも大きな島です。人口は1,000人ほどで、過疎化、高齢化が進んでいます。主な産業は特産の豊島石をうみだす採石業、漁業、農業などの地場産業です。


豊島の特徴は、離島では珍しく水が豊富で、湧き水がこんこんと出ており、その湧き水を最大限に利用して、棚田をつくり、畑をつくったりしています。昔は農業開拓者も受け入れていたほど、農業が盛んで、高齢化や過疎化の影響から昔ほどの農地はないのですが、今でも多くの農作物がつくられるほど豊かな自然に恵まれています。


もうひとつの特徴は、産業廃棄物問題です。このような豊な島に、1975年から産業廃棄物が島の東の一部に大量に投棄されていきました。島の人たちは当初から環境が損なう、公害が出る、農作物がつくれなくなるなどのうったえを住民運動をとおして行っていましたが、長いあいだその願いは届かず産廃の投棄や野焼きは続きました。
15年後の1990年になり兵庫県警が摘発したことによって世間に明るみになり、結果として日本最大の産廃の不法投棄という大問題に発展しました。県もその事業を認可したこと、不法投棄を黙認していたことを認め、島民に謝罪し、島民が一丸となった16年ほどに続く住民運動も県と調停成立にいたり、その運動は終息しました。


その豊島にて現在、豊島の豊かな農地や海を利用した「食」プロジェクトと、美術館の建設・運営の2つをテーマに「食とアート」として今後数十年間にわたって豊島で活動を展開していきます。


その「食」プロジェクトの中心となるのが棚田の再生です。
豊島の唐櫃に位置するこの棚田の広さは約100ヘクタールと、東京ドーム2つ分以上の面積があり、山から海に面した急な斜面に、棚田が何十枚、何百枚もの田んぼがつならなってあります。かつては、このあたり一面が田んぼでしたが、現在は木々や植物におおわれ、森や竹林となっており原型もわからない状態になっています。


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現在の計画では、休耕田(数年間放置された田んぼ)と森や竹林(数十年間放置された田んぼ)のエリアにわけて、休耕田では草刈、森や竹林は、伐採、などを行い、いったん平坦な土地に戻す開墾作業を今年度中に行う予定です。地元の方や、開墾ボランティアを募る予定で、合計1500の人出によって2010年の3月までに、棚田の原型を取り戻します。


2010年4月からは平坦になった土地から、水路が通った田んぼや、石垣が崩れていない、比較的復旧可能な休耕田でコメづくりを行います。森や竹林だった場所では引き続き開墾を行ったり、水路を補修したりし、徐々に棚田を復元させます。年月をへて、徐々にコメや農作物の生産量を高めていき、農業やそれにかかわる飲食業、および観光業を充実させ、豊島の復興をしていく長期計画です。


私たちは古くから自然の恩恵を活用した生活を行っていましたが、近代化や高度経済成長期を経て「今」の快適性や人が中心の社会(都市)をつくりあげ、ひとと自然を切り離した「生き方」を構築してきました。しかし最近になって、食の安全の崩壊や環境の悪化、そして風景や文化が失われていき、私たちが古くから大切にしていた「価値」の崩壊が起こっているように思えます。


このプロジェクトのねらいは、一度ひとがほうきし自然に返ってしまった土地にて、格闘しながらもひとと自然が調和できる「生き方」を、身をもって考えて、つくりだしていこうということです。
それは近代化や高度経済成長期以前の昔に戻ろうということではありません。
この時代、この場所で、自分たちがよりよく生きていける状況を生み出していこうというものです。この豊かな自然の恵みのある豊島では、このプロジェクトが今の時代にたいし、そして次世代にたいしても、よりよい「生き方」や、よりよい「価値」をうみだせることになると信じています。


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